ZEN-NOH Recruiting

JA全農プロジェクトレポート

CROSS TALK

SPECIAL CONTENTS 技術系職員座談会

熊谷 友香 写真

熊谷 友香

YUKA KUMAGAI

2020年入会
農学部卒

営農・技術センター
資材研究室

入会後に配属された資材研究室で、国産農畜産物に関わる包装資材を担当。メーカーが製造した製品の品質管理、新製品・新技術のメーカーとの共同開発、講習会・研修会の実施など、業務は多岐にわたる。現在は、国内ユーザーで唯一フレキシブルコンテナを導入し米用フレキシブルコンテナの品質管理も行う。1袋30kg入りの米袋に代わり、1袋1t入る同コンテナを普及させることで、物流・運送業界で顕著なドライバー不足という社会課題の解決に取り組んでいる。ちなみに大学では、収穫後の青果物の成分変化を研究。ここで身に付けた知識や技術は、メーカーとの新しい包装資材の共同開発に生かされている。

新井 俊介 写真

新井 俊介

SHUNSUKE ARAI

2016年入会
生命環境科学研究科修了

耕種総合対策部
スマート農業推進課

入会後、営農販売企画部(現・耕種総合対策部)営農・技術センター残留農薬検査室に配属。残留農薬の検査を通じ、農薬の安全性の確保を担う。2021年4月、耕種資材部技術対策課(現・農薬技術対策室)に異動し、各種農薬の現場導入に向けた技術面、法律面をサポート。2023年4月より現部署。Z-GISやxarvio®フィールドマネージャーといった低コストで農家が導入しやすい経営・栽培管理システムを中心に、スマート農業の普及計画や方針の策定、実証試験や研修会などを企画・実施。担い手への周知活動に加え、全国のJA・経済連・県本部への働き掛けを通じた環境整備にも力を注ぐ。

自らの専門性を生かし農家の課題に向き合う 生産者の役に立っているという手触り感をやりがいに
藤條 亮宏 写真

藤條 亮宏

AKIHIRO FUJIEDA

2019年入会
畜産学研究科修了

畜産生産部
飼料畜産中央研究所
笠間乳肉牛研究室

入会とともに、畜産農家の経営と系統飼料畜産業を技術面からサポートすることを目的とする飼料畜産中央研究所に配属。笠間乳肉牛研究室において、牛の飼料や飼養管理に関する研究を行い、生産現場に貢献できるような情報や技術の提供を行っている。とりわけ現在はET研究所と連携しながら全農保有種雄牛精液を用いて生まれた産子の評価や子牛用粉ミルクの研究に注力。農業における人手不足に対して、飼料の給与方法やICT機器等を用いて労働力省力化となるような管理方法の確立を目指している。

日置 洋平 写真

日置 洋平

YOHEI HIOKI

2013年入会
生物資源環境科学府修了

施設農住部
札幌施設事業所

入会とともに施設農住課(現・施設農住部)に配属され、2015年に西日本広域施設農住事業所に異動。そして2018年より現部署。これまで2度にわたる転勤を経験するも、一貫して同じ分野の業務に従事。具体的には、JAや組合員が建設する農業施設や建物(JA本店、賃貸住宅等)について、計画から設計、施工管理、引き渡しまでの一連の業務を、施主の立場で支援(施主代行方式)する。とくに現在は農業施設のコンサルタントとして、JAや行政、プラントメーカーなどと協働で大規模・省人化技術などのプラント設備の新規導入・更新を推し進め、地域農業の維持・発展を図っている。

TALK 01

学んできた知識や技術を生かしながら、
生産者と消費者の双方に貢献できる職場

熊谷

私は食べることが好きで農学部に進学した経緯もあり、就職活動は「食」に関わる仕事を軸に進めていました。その過程でJA全農の技術系採用の説明を聞き、興味を持ちまして。調べてみると「消費者」のみならず「生産者」に対しても事業を行っている。しかも大学の研究テーマを生かすこともできそうだし、若手の内から活躍できる場もあるということに、すごく魅力を感じて入会しました。皆さんは、どうでしたか?

藤條

私は幼少期に牧場近くに住んでいたこともあり、それが縁で畜産系の大学に進学し、農場で搾乳や給餌のアルバイトをしていました。大学での研究活動も含め、動物や生産者と触れ合う機会も多かったことから、「生産者を支える仕事に就きたい」という思いが強くありました。この点でJA全農は「生産者」と「消費者」をつなぐ懸け橋となり、「現場」で仕事ができるということで、入会を決めました。

新井

私の場合は当時所属していた大学院の研究室を通して、募集があることを知りました。自分がそれまでに身に付けてきた化学の知識や分析の技術が生かせるならと思い、応募しました。JA全農についてもいろいろと調べましたが、単に自分の研究内容を生かせるだけでなく、「日本の農業」という大きなスケールで貢献ができる。これはすばらしいことではないかと思ったのを、よく覚えています。

座談会写真1
座談会写真2

日置

そう、スケールの大きさ。これもまたJA全農で働く魅力だと、私も就職活動当時、強く感じていました。父方が農家、母方が酪農家という環境で育ち、農業は私にとって身近なものでしたので、農業のすばらしさとともに、大変さも感じてきました。だから就職活動では、その大変さを少しでも解消して「日本の農業」に貢献したいと考えましたし、それを全国規模で実行できるJA全農に就職しました。早いもので入会して10年という歳月が過ぎましたが、東京、岡山、札幌と転勤し、各地の「現場」で人とのつながりができました。そして、こうしたつながりを生かしながら全国規模で仕事ができる毎日に、就職当時の想いが実現できているという手応えを感じています。と同時に、人とのつながりは人生を豊かにしてくれるものであるとも実感しています。

熊谷

最後の言葉、わかる気がします。私も包装資材に関する品質管理では、国内はもとよりアジア諸国にある国外の製造工場まで出向くこともあります。まだまだ若輩の身ではありますが、それでもチーフとして、メーカーや商社、あるいは内部の本所各部門・各事業所など、多くの方々と技術的な交流を深めながら仕事をしています。実状は、そうした方々に助けられながらの日々ですが(笑)、ともあれ業務を通じて人とのつながりがどんどん広がっていく喜びを、私も感じているところです。

藤條

そうした顔が見える仕事ができるというのは、JA全農で働く楽しさですよね。先日、ある関連会社の方から「乳牛で使用する自給のエサを、肉牛でも使用できないか? もし、参考となる給与事例や注意点があれば教えてほしい」との依頼がありました。そこで後輩と手分けして、試験報告などを含む給与方法や優良成績生産者の給与事例など、国内外の資料やデータをかき集めて情報提供したところ、「助かりました。ありがとうございます。これでやってみます!」と、感謝の言葉をいただきました。日常的な業務の一環でしたが、自分の専門性が生産者の役に立っているという手触り感が、日々の業務を進めるモチベーションとなっています。

TALK 02

「日本の農業」が抱えるさまざまな課題、
そこに直接アプローチできるというやりがい

新井

日本の農業は、担い手の減少や高齢化の進行により、労働力不足が深刻な問題となっています。これにより現在の農地面積を維持するためには、一人当たりが管理する農地面積を増大していく必要があるだけに、労働生産性の大幅な向上は喫緊の課題でもあります。そこで私も全国へのスマート農業の普及・拡大に取り組んでいるわけですが、JA全農は日本の農業が抱えるさまざまな課題に対し、直接アプローチすることができる。しかも藤條さんが話してくれたように、私たちは身に付けた専門性を生かしながら、それに取り組むことができる。これは大きなやりがいですよね。

日置

そうですね。私も先年、あるJAさんとともに、小麦の乾燥調製等に関する既存施設群の効率的な運営に取り組みました。具体的には、稼働中に実態調査を行い、その調査結果に基づき、ある施設の処理能力増強および他の施設廃止を行い、運営コストと運営要員を削減しました。プラントメーカーさんにも早い段階から参画してもらい、既製品をその施設用にカスタマイズすることで機能の増強も図りました。結果として、JAさんは従来よりも少ない運営コスト、運営要員で、小麦の受入能力を1.4倍に増強することができ、収益向上につながりました。メーカーさんは、実態調査やカスタマイズを通じて利用者の声を吸い上げ、プラント性能向上に向けた知見を獲得することができました。そして利用者である生産者さんは、今までよりも効率的にJAの施設を利用できるようになったことで、自らの営農面積の拡大を企図しやすくなりました。まさに「売り手よし、買い手よし、世間よし」となったわけですが、「われわれの仕事は究極の営農支援である」という先輩の言葉を、私はこのときはじめて理解した気がしました。

座談会写真3
座談会写真4

新井

「三方よし」の実現によって実現された究極の営農支援——。なるほど、勉強になります。実はスマート農業も営農支援に寄与することは明らかなものの、どうしても生産者さんのITリテラシーに左右されてしまいます。まずは安価で導入しやすいものから、という発想で進めてきましたが、もっと高い視座、広い視野で進めていく必要があるかもしれません。たとえば、スマホを使い慣れない高齢の生産者さんに働きかけるのではなく、まずは地域のJAさんにITを導入してもらって知見を蓄えてもらう。そしてJAさんには、ITリテラシーの高い若い組合員さんも巻き込んでもらいながら、高齢の生産者さんをITでサポートしてもらうような。導入したい技術と、それを利用する現場と、間に入る私たちが、いかに各現場に応じたシンプルな仕組みとして提供していくか。

藤條

結局のところ、技術系職員の仕事というのは、その技術を実際に現場で利用する人たちのことをどれだけ具体的にイメージし、行動できるかにかかっていると、私も考えています。先ほどご紹介した事例でも、私は関連会社の農場がある自然環境や地域性などを念頭に置いた上で、集めた情報を取捨選択し、可能な限り少ない量でシンプルに提供することを心がけました。集めた情報をそのまま提供するようでは、仕事ではなく作業になってしまいますし、自分が関わる意味もなくなります。単なる情報提供では要領を得ず、結局は利用されずにお蔵入りとなってしまうでしょうし。

熊谷

各課題に対する最適解を導き出せるか否かは、私たちの働き次第であるということですよね。私が担当する包装資材でも、段ボールがすぐに破損してしまうというトラブルが発生したことがありました。このとき私は各社の段ボールを比較検証し、一部のメーカーさんで耐水性を向上させるための薬剤の切り替えが遅れていることを突き止めました。トラブルの原因を突き止められたことで同じ不具合の発生を防止することができました。結局、各農畜産物に対し、どの包装資材が最適かの知見は各現場に蓄積されており、その知見を農畜産物ごと、あるいは現場ごとに全国規模で集積しているのはJA全農ならではなんですよね。

日置

しかも、そうした知見が集積されるのは、なにも熊谷さんが扱う包装資材に限ったことではない。藤條さんが扱う牛の飼養技術にしても、新井さんが扱うIT技術にしても、私が扱う農業施設にしても、すべてに等しく指摘できることでもある、と。

熊谷

はい。その上で私の場合であれば、集積された知見を上手に活用し、たとえばメーカーさんとともに鮮度をより長く保つ包装資材を共同開発することができれば、「フードロス」という課題に直接アプローチすることができる。同様に、皆さんもそれぞれの現場で、それぞれの課題に、ダイレクトに寄与することができる。そうやって生産者には生産性向上に資する技術を、消費者には安心・安全・美味な農畜産物を、私たちは届けることができる。これほど大義ある仕事も、そうはないと私は思っています。

座談会写真5

TALK 03

JA全農に集う同じ志を持った仲間たちと、
農業に根ざす日本の文化を未来へ伝える

藤條

技術系職員は、白衣を着てラボでの活動をメインにする部署もあれば、作業着でフィールドワークを中心に試験を行う研究室もあります。部署や業務によって活動場所は違いますが全員に共通するのが「日本の農業のために」という想い。同じ志を持った仲間たちと仕事ができるという職場環境は、JA全農の誇るべき組織風土であり文化ではないか。私はそう考えています。

新井

だから、ジョブローテーションも前向きにとらえることができる。私も最初の部署異動には不安がありましたが、いまはっきりと言えるのは、自らの専門性というのは異なるフィールドでこそ役に立つということ。スマート農業を普及させるためには、各分野の技術系職員が集まっての実証試験が欠かせないのですが、ここで目指しているのは現場で生かせる技術。つまり各自の専門性は手段であって、目的ではない。それを自覚したとき、私は自分の専門性は異分野でこそ武器となることを知りました。技術を技術で終わらせず、自らの専門性を生かした企画力と実行力で、最新技術を「日本の農業」に活用していく。だからJA全農は、技術系職員を成長させてくれるのだと思っています。

日置

それゆえJA全農では、自分の想定を遥かに越える道が切り拓かれることもあります。そのひとつのロールモデルとも言えるのが、私自身です。農学部に進学し、大学院まで植物と向き合ってきた私が、いまでは本気で建築士の資格にチャレンジしようとしている。このようなキャリアビジョンを描くことになろうとは、入会当初の私には予想すらできませんでした。だから後進の人たちにお伝えしたいのは、JA全農では「自分に合わないからやめる」のではなく、「ちょっとだけ続けてみる」ことに挑戦してほしい。それだけでも自分の可能性は広がるはずだし、新たな自分に出会えるかもしれない。

座談会写真6
座談会写真7

熊谷

新井さんと日置さんのいまのお話には、とても勇気づけられました。私も、もっと見聞を広めたい。幸い勤務する営農・技術センターには資材研究室のほかにも、農薬・肥料・農業機械・施設園芸など、さまざまな研究室がありますし、研究業務発表会といった交流イベントもありますので、自分の専門や担当にとらわれず、知識や技術、知見やノウハウといったものを、これからも貪欲に吸収していきたいと思いました。そうやって自分なりに包装資材の可能性を追究することで、いずれはそれを自分の武器として、異なるフィールドでも活躍できる人材を目指していきたいです。

藤條

私も「畜産」という分野を軸に、今後は研究室を飛び出し、営業や営農指導にもチャレンジしたいですし、農場の経営についても学んでいきたい。そして、いずれは多角的な視点を持った畜産のコンサルタントのような人材になりたいと考えています。

新井

そうやって一人ひとりが成長していくことで、力を合わせ持続可能な農業、持続可能な社会の実現を目指していきたいですよね。これからも時々刻々と状況が変わっていくであろう日本の農業に対し、どの部署に在籍していても柔軟に対応、貢献できる人材になることが、私の目標でもあります。

日置

営利企業ではないJA全農だからこそ、「日本の農業」に対しできることはまだまだあるはずだし、もしかしたらそれは自分にしかできない仕事かもしれない。そうした仕事を一つひとつ達成しながら、農業に深く根ざす日本各地の豊かな文化を守り未来へ伝えていけるよう、明日からも頑張っていきましょう。

座談会写真8

SPECIAL CONTENTS

※使用画像については、みのりみのるプロジェクト「AGRIFUTURE」より一部転載しています。

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